オランダ−日本二国間セミナー

 オランダと日本の二国間セミナー「寄生蜂の生態」の要旨を作成して静岡大学に送った.結局,Wolbachia dilemmaといういつもの話にした.
 普通,単為生殖は両性生殖より増殖率が高い(ある条件では).そのため,あっという間に個体群中に単為生殖個体が広まるはずである.Wolbachiaは寄生蜂を単為生殖化する.そのような寄生蜂は野外ではほとんどの場合雄は存在しなくなり雌だらけの集団となる.しかし,Trichogrammaではなぜか単為生殖個体の頻度は低い.なぜだろう?今まで3つの仮説があった.1.Wolbachiaを殺す要因,2.母から娘に伝わる率が低い,3.Wolbachiaと正反対のことをする因子の存在(PSR).これらの仮説はすべて単為生殖が個体群中に100%になっても良いのにならないのは「なぜ」という暗黙の了解がある.
 私たちは第4の仮説,「本当は0になっても良いのに雄との交尾によって低頻度で存在することができる」を提出した.その実験および数理モデルでの検証を話す.