研究の素

 研究の素について少し書き出します.
 「捕食者の餌履歴」天敵の捕食者の評価は難しい.寄生蜂だったらどの害虫から出てきたかで評価ができる.しかし,捕食者の場合は直接観察などをしなければいけない.あるプロジェクトの会議で捕食者の評価について議論された.それってDNAを解析したら良いじゃんっと,ふとある失敗から思いついた.ハナカメムシOriusのWolbachiaを調べているときに餌のスジコナマダラメイガのWolbachiaが出てきた.結局,水平感染ではなくハナカメムシがチュウチュウ吸ったお腹のスジコナマダラメイガ卵からのWolbachiaであった.っと,それを使ったのが下の「DNAバーコード」のお話.前述の会議では話題になったハサミムシについてもコナガを食べているかどうかを判断できるようなプライマーを作成した.そして論文にして投稿したのだが,・・・すみません,野茶研のKNさん,ただちに他の雑誌に投稿します.

 「マルチプレックスPCR」一度にたくさんのプライマーを使うことにより系統や種を識別できるようにすることを目的にマルチプレックスPCR法を作りました.下記の論文です.
Miura, K., Y. Tagami, M. Ohtaishi and A. Iwasaki (2004) Application of molecular techniques to distinguish Liriomyza trifolii from L. sativae (Diptera: Agromyzidae) on tomato cultivation in Japan. Journal of Economic Entomology 97: 964-96.
 これは我らがボスの生物研のNDさんがWolbachiaの感染を報告するときに4つのプライマーを利用して2つバンドを確認したら感染しているというような「えらい」慎重なやり方から来ています.当時はマルチプレックスという言葉はまだ定着していなく,論文も数えるほどしか出ていませんでした.記憶では今は野茶研のOTさんのアドバイスが大きく関与していると思います.

 「とばテン」
 これは「とばテン」選抜方法についてきっと参考になると考え聴きに行った中央農研のMRYさんの学会発表がドンピシャだったことによります.もし,あのときMRYさんの発表が想像と違っていたら・・・

 ふとした失敗,感や運(科学者の言葉か?),記憶などから新しいものが生まれるかも・・・^^;
 それをどういかすかが研究が発展するかどうかの「カギ」.