さっさと

 今日は植継ぎをまずして,某生物農薬会社から送られてきた生物農薬オオメカメムシヒメカメノコテントウが共生微生物に感染しているかのチェックを行う.
 I氏の論文を考える.彼の論文のテーマは物理的防除である.過去は害虫を防除する方法として化学農薬や生物農薬がまず考えられていた.しかし,最近は物理的防除がかなり取り入れるようになってきた.例えば,ネットである.施設全体にネットを張り害虫の侵入を防ぐ.2001年に日本応用動物昆虫学会誌に「被覆資材とタマゴバチTrichogrammaの併用によるコナガの防除.45:151-155」という論文を書いた.これはまずネットで害虫が作物にこないようにしよう.しかし,鱗翅目の害虫はネットに産卵するためふ化した幼虫が「ぽっと」っと作物に落ちてきて加害する.そこで,鱗翅目の天敵である卵寄生蜂Trichogrammaを利用してうまくいったという論文である.この頃はネットのような資材はコストがかかり元がとれないからだめという批判を受けた.しかし,共著者のTさんの試算によりみんなに少しずつ理解してもらっていった.その結果がうちの京都にある部署での研究課題や農水省のプロジェクトの1課題に発展した.きちんとした科学的基礎があればみんなも納得する.このような批判は「DNAバーコード」や「飛ばないナミテントウ」でもあった(これらの話はまた後ほど).ちなみに,査読付きの学会誌に日本語で書いたのはこの論文と膜翅目の性決定の総説「寄生性膜翅目の性決定機構と大量増殖について. 日本応用動物昆虫学会誌 51: 1-20 (2007)」である.