シミュレーションモデル

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 生物的防除技術開発の仕事として「飛ばないナミテントウ」プロを行っている。ナミテントウは放飼後すぐに飛んで逃げる。そのため、作物上にたくさん餌となるアブラムシがいても帰ってこない。そのため、10年ぐらい前クボタ、日本化薬などとナミテントウの卵塊放飼や幼虫放飼を試みた。アブラムシをやっつけてくれるのは良いが、放飼方法が非常に面倒である。そのため販売は見送られた。前後して私はフランスのINRAという研究所に訪問した。目的は卵寄生蜂Trichogrammaの行動生態の第一人者であるEric Wajnbergさんを訪ねることであった。Ericが他の研究室を案内してくれたときに、なんと「飛ばないナミテントウ」を見せてくれた。昼間からワインで上機嫌のフランスの研究者に飛ばない形質と何かがリンクしているのかと尋ねたがネガティブな形質は何もないという答えであった。日本に帰って学会で中央農研のMRYさんがフライトミルでカメムシを飛ばしているのを聴いた。これだと思って研究室に帰ってフライトミルの装置一式を購入した(ってキーエンスの赤外線カウント装置、バルサ(世界で一番軽い木)、ラジコン用のボールベアリングと円柱状のカーボン棒である)。で、使えるようにしたけれど他のことが忙しくずーーーとほったらかし。途中、物理的に飛べなくしたナミテントウ(アグリ総研のナミトップ)の放飼試験を愛媛農試のKRDさんと共著で論文をだした(Comparison of the effectiveness of two methods for releasing Harmonia axyridis (Pallas) (Coleoptera: Coccinellidae) against Aphis gossypii Glover (Homoptera: Aphididae) on cucumbers in a greenhouse. Appied. Entomology and Zoology. 38: 271-274)。そのうちSKさんが私の研究室に入ってきた。彼はまじめにバリバリと「飛ばないナミテントウ」を作ったのである(Resident period of the flightless strain of the ladybird beetle Harmonia axyridis Pallas (Coleoptera: Coccinellidae) in open fields. Biological Control 47: 194-198; Effects of artificial selection for reduced flight ability on survival rate and fecundity of Harmonia axyridis (Pallas)(Coleoptera: Coccinellidae). Applied Entomology and Zoology 44: 587-602)。
 今やっているプロジェクトでいつ、どれくらいの量の「飛ばないナミテントウ」を放飼すれば良いかを理解するためのシミュレーションモデルを作っている。Excelでは簡単にできるが、変温に対応できない(いや、きっと出来るかもしれないが面倒である)。そこで、私が唯一書けるVisual Basicを使う。が、昔のBasicと違いめんどくさい。やれやれ、がんばろう。